私はビジネス書や自己啓発本の類、特に一般的にもてはやされているような類のものが非常に苦手です。
そんな私が持っているビジネス書らしきものが2冊だけあります。本日のサムネイルの2冊です。
この2冊以外にはKindle Unlimitedの無料体験で読んだ「無印良品は、仕組みが9割」がありますが、ビジネス書というより無印良品の裏側、特に1980年に始まってバブル経済で消費者が派手で高級な志向になっているのに逆行していった時代のことを知りたくて読んだようなところがあります。それを言ったら画像の右側も学生の頃に購入したもので、ビジネス書というよりはヴィレッジ・ヴァンガードの裏側を知りたくて買ったところがあります。
「ない仕事」の作り方
「ゆるキャラ」などの新語やブームを世に生み出したみうらじゅん氏の、まさに一人広告代理店のような活躍についての本です。実際には具体的な広告代理店の名前が出ていましたが、仕事相手によってどれを名乗るかは変えるとか…?
現在、高槻市に程近い大山崎山荘美術館で「みうらじゅん マイ遺品展」なる、みうらじゅん氏らしい本人の遺影を模したポスターをキービジュアルとしたスタイリッシュ不謹慎(?)な展示をしているらしく、高槻市内での書店でもみうらじゅん氏の書籍のポップアップコーナーができていました。そこで見つけた本です。
本の内容ですが、まともに原稿料の入らない連載を最初の仕事にしてそこから現代で言うインフルエンサーのように(それらしい言葉が他になかったのですがある意味ではそれ以上に?)世の中に次々と新しい概念を広めていったやり方について書いてあります。インターネットのある現代なら無名の一般人でもわりと何かしらやりようはあると思うのですが、インターネットもない時代にそれをやりとげたというのが驚くべきことです。
普通のビジネス書で扱われているような(偏見)俗にいうビジネスチャンスよりも、世間に見つかっていないものに対する「好き」を極めることに投資してそれを守るために世の中に広めていきたいという姿勢はかなり共感できます。というより私は新しい概念に価値を与えるような有名な方に対して尊敬の念を抱きがちです。
現代の人はすぐ社会不適合などという言葉を使ってしまいますが、自分が適合できる社会でなければ社会を自分に合わせて変えるくらいの、自分に向いている職業がなければ職業を自分で新しく作り出すくらいの覚悟は必要ではないかと思わせてもらえる一冊でした。
ヴィレッジ・ヴァンガードで休日を
株式会社ヴィレッジヴァンガードコーポレーション代表取締役社長(当時。2010年より代表取締役会長)の菊地敬一氏のエッセイ集です。厳密にはビジネス書ではないような気もしますが、「書店の開業には初期費用が数千万円単位でかかる」のインパクトが強いので書店を開業したい人向けかもしれません(?)。また、ヴィレッジ・ヴァンガードはこの本が発行された2005年の時点では本当に創業以来20年間にわたって売上記録を連続更新、2012年まで黒字決算が続いていました。その成功の裏側を知りたくて学生の頃に購入しました。
しかし、店舗の持つ個性的なコンセプトが事業拡大やチェーン展開と相容れなかったのか、2013年以降は赤字決算が続き、私が行ったことのある店舗も次々と閉店してしまいました。その後、コロナ禍でオンラインストアに力を入れたことがかえってプラスに働き、近年の業績は回復傾向にあるようです。現代でも、人気コンテンツとのコラボ(シャーマンキングとのコラボ商品もありました)、とてもワクワクするゴミの詰め合わせ福袋、全国のヴィレッジ・ヴァンガードの売れ残りを集めた個性が光るゴミの中のゴミの精鋭ヴィレヴァンアウトレットなど唯一無二のワクワクや楽しみがあります。現在住んでいる市内にないのが残念です。
ヴィレッジ・ヴァンガードは雑貨屋のようなイメージがありますが元のコンセプトが「遊べる本屋」であるとおり、書店の経営に関することが内容の大部分を占めています。初期費用が数千万円単位でかかるとか万引き対策とかスリップ(新品の本に挟んであって購入すると書店で抜かれるあの短冊状の紙。在庫管理だけではなく、1枚1円〜十数円程度の報奨金が書店につくこともあるらしい)とか在庫の返品とか。
そして菊地氏が目指しているのも世の中に新しい価値を提供することでした。「コンビニで本を買うようなセンスの悪い奴は相手にするな」というなかなかに刺さる言葉の通り、あくまで雑貨屋ではなく全く新しい形態の書店ということらしいです。しかし利益を出しているのは主に書籍以外の売上だとも書いてあったような。
また、菊地氏は実子に事業承継させることを良しとしない価値観らしく、全くのウソの心理学用語を並べ立ててまで子供に継がせないほうがいいという内容のことを書いておられます。その通りに2010年に社長の職を全くの他人の取締役に引き継いでいます。人によって意見が分かれるところだとは思いますが、私はあまり血縁で事業承継させるのは好きではないので非常に共感できました。
書店に関する内容が多めですが「人はなぜ独立するのか」というのは業種を問わず参考になりました。
まとめ
自分の「好き」を追い求めて新しい価値を生み出したい人生だった(完)。