「よく検索されているワードから逆算した記事を書こう」など私も堕落したものだと思ってしまいましたが、おそらく一定の層からの需要はあると思うので書いてみようと思います。
「ハリネズミ ケージ」でGoogle検索すると「ニトリ」がおすすめに出てくるのに、カラーボックスのようなある程度他社でも規格が統一された製品ならともかく、実際にニトリ独自の製品でケージを作った人が他に見当たらないので記事にまとめてみました。以下のように動画もアップしていますが、ここからいくつか改良しているのでそれを動画に補足する形で説明します。
ハリネズミケージの変遷
うちの初代ケージは「いきものたちの楽園 特大」というペットショップで購入した大きめの虫かご(幅44.5×奥行き27×高さ18.5cm)でした。通販ではやや高価ですがペットショップでは比較的安価で、急場しのぎのケージに使う方も少なくないと思います。大きめとはいえハリネズミには小さく、給水ボトルをセットするとふたが閉まらずハリネズミが簡単に脱走できるという致命的な弱点のため、これは本当に急場しのぎで2日くらいでメインのケージとしての使用をやめましたが、現在でも大掃除での一時的なケージや遊び場として使用しています。
2代目ケージはニトリNフラッテレギュラー(幅51×奥行39×高さ23cm)でした。フタにワイヤーネットを取り付けるなどして使用し、特に問題はありませんでしたが、手狭そうなのでより横幅の広いワイドに変えました。現在、このニトリNフラッテレギュラーは飼育用品入れになっています。
なぜニトリNフラッテワイドにしたのか
虫かごを2日でやめた理由に、脱走の件もあるのですが、ハリネズミは上から触られるのが苦手ということがあります。よくある上にフタがある衣装ケースより、横からアプローチできる前開き衣装ケースが向いていると思いました。
同じような各メーカーの前開き衣装ケースを比較してみました。なお、ケージとして実用に耐えうるサイズの商品同士を比較しています。
メーカー | 商品名 | 参考税込価格 (フタとセット) | サイズ (外寸) | 備考 |
---|---|---|---|---|
天馬 | カバコワイドM | ¥2395 | 幅60×奥行42×高さ31cm | 複雑な構造なので内寸が狭め |
IKEA | フィッラ | ¥1699 | 幅67x奥行き42x高さ31 cm | 前が透明でハリネズミの様子が見やすい |
CAINZ | キャリコL | ¥1780 | 幅66×奥行38.5×高さ31cm | 可も不可もない |
ニトリ | Nフラッテワイド | ¥1790 | 幅76.5×奥行39×高さ23cm | 幅70cm以上 |
ハリネズミ用のケージとして代表的なシャトルマルチ70などのように、幅70cmはケージに最低限必要とされています。市販の前開き衣装ケースでこれを満たしているのはニトリNフラッテワイドのみなので選びました。
幅70cm以上のハリネズミに適したケージを購入しようと思うと、シャトルマルチ70で数千円、ガラスケージやアクリルケージといったこだわりのケージだと、場合によってはハリネズミの生体以上の費用をかけている方もいます。一方、Nフラッテワイドなら本体+改造に必要なものでも2000円ちょっとでケージを作ることができます。安価でハリネズミが快適に過ごせる広さのケージを作ってみましょう。

ちなみに、ニトリNフラッテワイドの上にはニトリNフラッテハーフ、横にはNフラッテレギュラーの引き出しケースと2代目ケージのNフラッテレギュラー(フタのみ買い替え)を飼育用品入れとして置いています。飼育用品の収納にも統一感が出るのがメリットです。なお、手前でペットフェンスとして用いているフリーマルチパネルは100均商品ですが、これについても書きました。
関連投稿:100均商品でハリネズミの部屋んぽサークル(フェンス)を作ろう
ニトリNフラッテワイドでケージを作るのに必要なもの
・ニトリNフラッテワイド本体+フタ
以下のリンクからではなぜかフタが2個セットしか買えないので、フタとのセット購入は公式サイトの収納ケース Nフラッテワイド本体+フタセット(CL)、通販では品薄なのでお急ぎの場合はお近くの店舗での購入をおすすめします。
・ワイヤーネット
通気性の確保と、飼い主からするとハリネズミの観賞用に必要です。側面をワイヤーネットにしてもいいのですが、うちのイチくんだとよじ登りそうで怖いので天井をワイヤーネットにしました。ダイソーの44×29.5cm(12×8マス)のものを使用しましたが、あまり厳密でなくても近いサイズなら問題ないと思います。上全面をワイヤーネットにしたい場合はもっと大きなものを使ってもいいのですが、Nフラッテハーフをスタッキングするのでフタを3分の2(Nフラッテレギュラー相当のサイズ)切り取りました。
・結束バンド
ワイヤーネットの固定に使います。あまり長くないものでいいと思います。
・いたずら防止ストッパー
・面ファスナー
動画では2つ使用していますが、上にNフラッテハーフを置くならそれが重りになるので1つでもいいと思います。真ん中に1つつけるだけでは端から脱走を図ってしまうようです。左右を面ファスナー(いわゆるマジックテープ)でとめています。
・工具
カッターナイフ、目打ちを使います。自宅にあるもので事足りると思いますが、カッターの刃が折れるかもしれません。替刃を用意したほうが安心です。
ケージの作り方
①ワイヤーネットのサイズに合わせてフタをカッターナイフで切る
ニトリNフラッテにはスタッキングするための凹凸がついているのでそれに合わせると切りやすいと思います。
プラスチック切るのへたくそ選手権。
②ワイヤーネットを取り付ける箇所の周囲7〜8箇所に目打ちなどで穴を開ける
結束バンドが通る程度の穴を開けます。
③開けた穴とワイヤーネットを結束バンドで固定する
私よりプラスチックを切るのがへたくそでもない限り脱走の心配はないと思います。
心配な人はニトリNフラッテハーフをスタッキングするなりして切りすぎた箇所を塞ぎましょう。上に収納を置くと省スペースにもなり脱走防止にもなります。
④いたずら防止ストッパー(中央)と面ファスナー(左右)をつける
脱走対策です。人に開けやすくハリネズミに開けにくいのでおすすめです。完成図は以下の通りです。

⑤いつも通りの環境を整える
床材を敷き、寝床や給水器やフード皿などを置きます。最初は給水ボトル(サンコーマルチボトル125)を用いていましたが、飼い主が取り付け部分をぶっ壊したのでドームサーバーに買い替えました。フタを外して全景を撮影しましたが、うちは回し車やトイレを置いていないので至ってシンプルです。

・床材
マルカンやさしいペーパーマットです。当初は広葉樹マットでしたが、うちのイチくんはオスなので、広葉樹マットやトイレ砂を皮に挟んでしまったら痛そう(お察しください)なのでこれに変更しました。飼い主としても靴下や足にくっつきにくくなったので扱いやすいです。イチくんは床材を掘るのが大好きなので、ペットシーツは論外です。
・寝床
飼い主の手編みです。ハマナカジャンボニーという超極太毛糸1.5玉程度を使用したので材料費は800円程度ですが、この値段ではハムスター用の小さめのハウスくらいしか買えないことを考えると満足です。イチくんも朝から昼はずっとここで寝ています。
・給水器
給水ボトルと水皿のいいとこ取り、ドームサーバーです。これなら何らかの事情で初代ケージにいてもらうときもフタを閉められるので安心です。ただし、床材が入ったり床材が大量に水を吸うことがあるので、ケージ内で床材に勾配をつけ、給水器付近を少なめにしておくのがおすすめです。
・フード皿
飼い主が陶芸体験で抹茶碗を作った余りの材料で作った小皿なので、全く同じものは市販されていません。なかなか使う機会がなかったのですが、イチくんに使ってもらうことにしました。
フード皿を置くあたりにはスタッキングのための溝があるので、こぼれたフードを処理するのが大変でした。溝を埋めるためにフード皿の下に緑色のカッターマットを敷いています。
・温度計
ダイソーの万能クロックを温度計として面ファスナーで固定しています。ケージの上にも温湿度計付きのデジタル時計を置いていますが、念のためケージ内も測っています。お笑い芸人の野田クリスタルさんのハムスターケージを参考にしました。
・遊具
回し車は遠心力うんこ飛ばしマシーンになるのと登ったり足を引っ掛けたりハリネズミに危険が及ぶのがイヤなので置いていません。前述の床材の話もそうですが過保護かって感じがしますね。ケージの中に余計なものが少なく、夜間になるといろいろな遊具のあるスペースで部屋んぽを毎日最低2時間させていて、ケージに戻ってからも扉近くの何もないところを無限に行ったり来たりするか、床材を掘って埋まるか、寝床を転がして遊んでいます。ストレスでケージ内が荒れる、体重が激増するなども起こっていないので、しっかり運動できているようです。
とはいえケージ内に何も遊ぶものがないのもかわいそうなので、ホームセンターで購入した150円くらいの塩ビ継手を置いています。登ったりくぐったりして遊んでいます。
ニトリNフラッテワイドでケージを作るメリット
コストパフォーマンスが優れている、広い、前からハリネズミにアプローチできるのはニトリNフラッテワイドを選ぶ時点で既にわかっているとして、それ以外を考えてみます。
・軽い
アクリルやガラスといったこだわりのケージだと重くてメンテナンスが大変と聞きますが、ニトリNフラッテワイドはとても軽い(本体1.23kg、フタ960g)ので床材を一部を残して全て捨てて交換するときや丸洗いするときのメンテナンスが楽々です。メンテナンス以前に、こだわりのケージだと通販で買うか車で持ち帰るかしかないと思いますが、軽いので買って持ち帰る時点で楽です。
・圧迫感がない
ハリネズミ用ケージの多くにそれなりの高さがあるのは回し車を置くためだと思うのですが、回し車を置かず、ケージ内と部屋んぽで運動させるなら高さは不要です。むしろハリネズミは登るのは好きなのに降りるのがものすごくへたくそなので、下手に高さや足場があると骨折などのケガにつながることもあって危険です(やはり過保護)。ケージが低いのでインテリアの圧迫感がないです。また、飼育用品の収納もNフラッテで揃えると統一感があります。
うちはハリネズミの生態を尊重して1匹飼いを貫くつもりでいますが、多頭飼いでもメリットになると思います。複数を横に並べると長屋やテラスハウス、メタルラックなどで縦に並べるとマンションのようでかわいいと思います。ニトリNフラッテは店頭では重ねて陳列されているので、空いたケージや入居予定(?)のケージを重ねて保管するにも場所をとりません。
・部屋んぽのときに自由に出入りできる
部屋んぽスペースで放し飼いにするとき、わざわざフードのお皿や水皿をケージの外に出さなくてもハリネズミがケージに自由に出入りして水分や食事を補給できます。脱走のリスクを考えるとデメリットにもなりますが、ストッパーなどで脱走対策すれば大丈夫です。
・上に収納を置ける
ワイヤーネットをつけていない箇所にニトリNフラッテハーフを置いてフードなどの飼育用品を保管しています。
・何らかの事情で使わなくなった場合にはフタのみを買い替えて収納にできる
2代目ケージとして使用していたニトリNフラッテレギュラーは飼育用品の収納になりました。多頭飼いをするか迷っていてやめた場合など、ケージとして使用しない場合は普通の収納用品として使うことができます。
ニトリNフラッテワイドでケージを作るデメリット
メリットと表裏一体のもの(脱走のリスク)以外特に思いつきません。
最も大切なこと
この投稿は「うちのハリネズミのイチくんに合うケージ作り」です。ハリネズミの性格にはかなり個体差があるようです。イチくんは人の気配がしてもおかまいなく動く無神経(一般ハリネズミ比)な子なのでこれでうまくいっていますが、部屋んぽに積極的でなく人の気配がすると全く動かないタイプの子にはこのケージはおすすめできません。あと私が飼い主としてかなり過保護気味なので、よじ登ってケガの原因になるようなものは排除しています。イチくんはプラスチックのツルツルした面を登ろうとはしないので、部屋んぽスペースのパーテーションがワイヤーではなくパネルなのもよじ登りや落下の防止のためです。
ハリネズミの飼育情報は色々な方が投稿していますが、悪意のある情報で惑わそうなどという人は私が見る限り見当たらず、皆さんが「うちの子の場合」を書いているから、自分が飼っているハリネズミと全く異なる場合もあるのだろうと思います。皆さんのお宅のハリネズミに合うものを用意してあげるのが大切です。