依存症や児童虐待のような事例に対しては、「他人に迷惑をかけたり加害行為をする人を罰するだけではなく、同じ過ちをしないように支援していく」ということが最近では一般的になってきました。
ステイホーム期間の4〜5月、全国の配偶者暴力相談支援センターに届いた相談件数は前年比2~3割増。「DV被害者は逃げてください」が救済の基本的な方針ですが、加害者は? 自身のDV体験をきっかけに、DVや虐待に悩む人たちのための団体を立ち上げた夫妻の話をお届けします。https://t.co/AQOQhW3YuW
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) September 30, 2020
児童虐待やDVなど家族に暴言を吐いたり暴力をふるってしまう人の多くは、本人もやめたいのにやめられない、あるいは無自覚に同じことを繰り返してしまう依存症のような状態に陥っていると思います。以前、インターネット上の誹謗中傷についても、依存症に陥っていて嫌いな人の言動を監視するのがやめられないという事案を取り上げました。依存症のようなタイプなら上の記事で挙げられているように考え方や行動など、心理学に基づいて加害者本人の認知の歪みを正していくことで解決する可能性が高いと思います。ただし、いわゆる「サイコパス」のような、そもそも人格に大きな問題がある場合はこの方法だけでは解決は困難かもしれません。
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私の前職は教員でしたが、最近は教育現場でも、いじめの解決には被害者を守ることだけではなく、加害者が抱える問題を解決することや、いじめに至った考え方の歪みを直していくことも必要不可欠とされています。以前も書きましたが、「いじめは起こってはならないもの」ではなく、「人を傷つけて気分がすっきりする可能性は誰もが持っていて、誰でも加害者になりうるもの」として受け入れ、その上で対処することが現代では一般的になりつつあります。
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上の記事で挙げられている52歳男性の中川拓さんは、宮崎から横浜の加害者更生プログラムに通ったのちに、別居していた妻の亜衣子さんとも和解し、九州を拠点とした加害者更生プログラム「エフエフピー」を夫婦で立ち上げたそうです。家庭内での暴言や暴力、いじめ、誹謗中傷などの問題は、被害者と加害者を引き離し被害者を守ることも大切ですが、加害者が同じ過ちをしないように考え方や行動を正していく支援をすることも、これからますます重要になっていくと思います。