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DMCA(デジタルミレニアム著作権法)とは


編み物ユーチューバー著作権裁判では、被告がYouTubeのDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づいたシステムを悪用したと考えられています。本日は予定通り、DMCAについて取り上げることにしました。

YouTubeのシステムはDMCAに基づく「ノーティスアンドテイクダウン」方式を採用しています。以下は、日本の総務省のサイトに掲載されている解説です。

参考資料:ノーティスアンドテイクダウン手続について

ノーティスアンドテイクダウンとは、権利侵害を主張する者からの通知により、プロバイダが、権利侵害情報か否かの実体的判断を経ずに、当該情報の削除等の措置を行うことにより、当該削除に係る責任を負わないこととするものである。

つまり、権利侵害を主張する者からの通知(ノーティス:notice)があった場合に、プロバイダ(この場合はYouTube)が権利侵害の有無を判断せず当該情報を削除(テイクダウン:take down)することで、プロバイダは責任を負わないとされるということです。そして、有効な反対通知(YouTubeの場合は異議申し立て)に対して権利侵害を主張する者からの訴訟の提起がなく、動画が復活した場合にも、プロバイダは責任を負わないとされます。

YouTubeを運営するGoogle本社が所在するアメリカの法律であるDMCAにより、YouTubeは通知により動画を削除・異議申し立てにより復活させれば個々の事例について免責されるということです。なお、異議申し立ての審査期間である10〜14営業日というのも、DMCAに基づくものです。日々膨大な動画がアップロードされ、膨大な通知が届いているであろうYouTubeがいちいち個々の事例について責任を負うわけにいきません。また、アメリカに本社が所在している以上、アメリカの法律に従った規約やシステムをYouTubeは適用せざるを得ないということになります。この件でYouTubeの規約やシステムを批判するのは好ましいことではなく、アメリカのサービスであるYouTubeを利用している以上、日本人であろうとそれに従うしかないと思います。

総務省の資料などによると、日本では通知の悪用を恐れ、プロバイダ責任制限法でもノーティスアンドテイクダウン手続の採用には慎重になっているようです。私の旧ブログに削除請求が届いたとき、いきなり削除されなかったのはAmebaの規約やシステムというより、日本の法律のおかげであるということになります。

アメリカではDMCAの悪用によって、YouTube側がユーザーに対して訴訟を起こす事例がありました。アメリカに本社がある同様のTwitterなどのサービスでも、DMCAの悪用による問題が起こっているようです。DMCAには「故意に理由を偽って削除申請を行った者は、削除申請を受けた者とサービスプラットフォームの提供者に対して費用の責任を負う」と規定があり、虚偽申請をした者は申請を受けた側だけではなく、サービスを提供する側に対しても損害賠償を負うことになります。

アメリカで起こった事例では、虚偽の申請のみならず、「3回目の申請をしてアカウントを停止してやる」と恐喝し金銭を要求、異議申し立てをおこなったユーザーの氏名・住所を悪用して武装警官を突入させるなどの行為を起こしています。以下の2つ目の関連リンクは以前も紹介した記事ですが、YouTubeは虚偽申請をおこなった者に対し、2万5千ドルの損害賠償と虚偽申請の禁止という条件で和解しました。
関連リンク:
YouTubeが「不正な著作権侵害申請を繰り返した」として男性を訴える
YouTube、虚偽の著作権侵害申し立てを行ったユーザーを提訴、虚偽申請を禁止に

この件については、このたびの編み物ユーチューバー著作権裁判の原告代理人弁護士のYouTube動画でも紹介されています。
関連動画:YouTubeの著作権侵害通知を悪用して武装警官を突入させようとしていた事件

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