【お知らせ】本日2020/08/28放送の日テレ系列「スッキリ」にて、テレビ欄に掲載の通り「ユーチューバー同士動画著作権で法廷論争」という内容が取り上げられる予定でしたが、速報などによる一部内容の変更によりカットされたようです。
また、本日は世間の情勢が大きく動くことが予想されるニュースの発表もあり、しばらくテレビで取り上げられる見込みは低いと予想しています。週刊新潮の記事でも懸念したことですが、下手にYouTubeのシステム叩きの論調になるのも好ましくないと思います。アメリカでは虚偽の著作権侵害申し立てをした者に対しYouTubeが損害賠償を請求した事例もあり、今回の件ではYouTubeもある種の被害者であると考えています。
さて、昨日の投稿でも扱った福島県のラーメン店損害賠償請求訴訟の判例から、名誉毀損の被害者による一種の懸念が解消されたと思うので、さらに掘り下げたいと思います。
昨日の投稿の振り返り
・「上記の投稿者は(中略)事実と異なる投稿を続けており」とは、原告の110万円の損害賠償請求に対する11万円の支払いの判決について、被告が「原告の請求が9割棄却された」などと荒唐無稽な解釈をしていることを指す。
・被告は弁護士を立てなかったことについてなぜか自慢げである。
・判決の理由は、「被告の社会的な発言力が弱い」「原告に不利益が生じていない」という2点から相応の金額を示されたとされている。
以前、当サイトでも取り上げましたが、「名誉毀損は毀損のおそれが生じた時点で成立し、名誉が毀損されているという事実を証明することは必要ない」ということが通説とのことです。
この件では「被告の発言力が弱い」とされていますが、名誉毀損に当たる書き込みの信憑性があまりにも低く、被告の書き込みによってラーメン店の売上に影響はほとんど生じていないと考えられることが、損害賠償が当初の請求より大幅に減額された理由として挙げられています。しかし、被告の言葉を誰も信じないからといって名誉毀損の違法性そのものを棄却するわけにいかないため、11万円の支払いを命じるという判決に至ったようです。この件の被告は判決を受けても反省が見られず、「金を払えば誹謗中傷してもいい」などと考えている可能性もあり、今後もラーメン店側が法的措置を取ることになるかもしれません。
また、原告ラーメン店が発表した文書に「業務用スープを使用している」という被告による名誉毀損の例が出されていますが、これは少なくとも原告ラーメン店にとっては事実とは異なることです。とはいえ、「業務用スープを使用している」という言葉はラーメン店をけなす一般的な表現とはいえず、誹謗中傷として使っている時点でかなり被告の側に問題があることがわかるので、限られた長さの文書としてはわかりやすい例だと思います。
この判例から、「誹謗中傷とされる発言の信憑性が低く、それによって実害が発生したといえなくても損害賠償請求は認められる可能性がある」「一般的な悪評ではない言葉を使っていても文脈や書き込んだ者の意図次第では名誉毀損になる」ということがわかりました。実際に被害が発生したといえるかどうかと、法的に被害が認められるかは別の問題のようなので、実際に被害が発生したといえないことを理由に損害賠償請求をためらう必要はなさそうです。